DLPとは何のこと?
−DLP方式、LCD方式、LCOS方式の違い−
プロジェクターがスクリーンに画像を投影する方式=「投影方式」は大きく3つあります。DLP方式、LCD方式、LCOS方式の3つです。
■ DLP方式の投写のしくみ
DLP方式はではDLPチップという光半導体を利用して投影します。LCDとLCOSは液晶パネルを使用して画像を投影します。
DLPチップに使用されているマイクロミラーは髪の毛の 1/5 より小さいサイズで、DLPチップにはこの小さな鏡が数百万個内蔵されています。
3Chip DLPの場合、ます、ランプの光を特殊なプリズムでRGBの光の三原色に分解します。各色専用のDLPチップが用意されており、それぞれのチップのマイクロミラーが光を反射します。
各色ごとに反射された光を再度プリズムで合成してからレンズを通してスクリーンに投写します。
■ LCD、LCOS方式の投写のしくみ
LCD、LCOSでは、DLP®チップの代わりに透過型液晶パネルを使用します。画像を特殊な鏡を用いてRGBの光の三原色に分解し、それぞれの光を各色専用の液晶パネルに透過させた後、再度プリズムで合成してからレンズを通してスクリーンに投写します。
■ 画質、寿命などに優れたDLP方式
DLPチップにはほぼすき間なくミラーを敷き詰めてあるため、光を漏らすことなく効率よく使うことができます。そのため輝度を確保することができるほか、応答速度の速い滑らかな映像を映し出すことができます。
また、DLP方式では、白と黒をミラーのONとOFFで表現しているため、真っ黒を表現でき、コントラストが高いというメリットもあります。
また、DLPチップは液晶パネルと比べて劣化が遅く、長く使えるというのも特徴です。
表1<方式別の性能比較(大型映像用を主として)> | |||
DLP | LCD | LCOS | |
画質 | ◎ | ○ | ◎ |
---|---|---|---|
明るさ | ◎ | ○ | ○ |
解像度 | ◎ | ○ | ◎ |
表示速度 | ◎ | △ | ○ |
3D対応性 | ◎ | △ | ○ |
パネル寿命 | ◎ | △ | △ |
光学部のシンプルさ | ◎ | ○ | △ |
製品化への柔軟性 | ◎ | ○ | ○ |
■ 1chip DLP の仕組み
1chip方式は、1つのDLPチップと1枚のカラーホイールを用いて、カラーの画像を表示します。
ランプ(光源)から出た光はRGBの三色に色分けされたカラーホイールを通ってマイクロミラーに到達します。
カラーホイールは高速回転しており、マイクロミラーもこれに応じて高速でON/OFFが切り替わるようになっています。このようにすることで、残像効果によって人間の目には、RGBが合成されたカラー画像に見えるという仕組みです。
■ 3chip DLPの仕組み
一方、3chipではRGBそれぞれ1つずつ、計3つのDLPチップを用います。
ランプ(光源)から出た光はまず、特殊なプリズムでRGBの3つの光に分割されます。
RGB各色のDLPチップのマイクロミラーがそれぞれの光を反射し、各色ごとに反射された光を再度プリズムで合成してからレンズを通してスクリーンに投写します。
■ 1chip DLPと3chip DLPの比較
1chipは1つのDLPチップ、1枚のカラーホイールを使った、シンプルな作りになっているからこそ、軽量化できるという利点があります。
3chipの方が複雑な作りになりますが、RGB各色ごとにDLPチップが用意されているため、より高精細な画像を投射できるという利点があります。
画面サイズの変更にも適応でき、様々な場所や用途で使うことが出来ます。
表2<パネル数による性能比較> | ||
単板式(1-Chip) | 3板式(3-Chip) | |
画質 | ○ | ◎ |
---|---|---|
明るさ | △ | ◎ |
解像度 | △ | ◎ |
寿命 | ◎ | ◎ |
画面サイズ適応性 | △ | ◎ |
本体サイズ | ◎ | △ |
コスト | ◎ | △ |
■ 1chip DLPのメリット −手軽さなら1 chip DLP
1chipの強みは、なんと言っても小型で軽量なところです。
1チップで構成できるシンプルさから、製品の大幅な小型軽量化が進んでいます。カバンに入れて持ち歩ける手のひらサイズから、より小さなポケットサイズまで、小型軽量なプロジェクターがDLP方式で次々と登場しています。
また、手軽さやコスト面においても優れており、個人や家での鑑賞にも使われています。
■ 3chip DLPのメリット −画質なら3chip DLP
画質や性能に関しては、3chipの方が格段に優れています。
また、1chipで発生しやすいと言われている、カラーブレイキングノイズ(動きが早いシーンや字幕などで、残像が感知される現象)は、3chipでは起こらないと言われています。
映画館や、建物などに大きな映像を移すときは、サイズの適応性のある3chipが使われます。